インタビュー:卒業生の活躍
競馬をギャンブルだけでなくスポーツよりに広めたい
井内 利彰 氏(64回/調教捜査官)
1976年大阪市生まれ、府立清水谷高等学校卒、1998年本学経済学部卒、卒業後、株式会社JRDB入社、1999年「競馬王」誌上デビュー、2001年調教馬券術「調教Gメン」発表、膨大な調教データを駆使した斬新な分析で「調教適性」の存在を世に知らしめる。以来、調教捜査官として「競馬予想TV!」等テレビ、雑誌、インターネットなど、様々なメディアで活躍しており、最近はJRA主催のビギナー向け競馬教室で講師を務めている。
「皆さん今日はお金儲けに来られたんですか? 無理ですよ(競馬ってそもそも負けますから)(笑)」と競馬場で開催している競馬教室での第一声です。
競馬との出会い
井内さんが競馬に興味を持ったのは高校生の頃です。
同級生から馬の話を聞いて「ミホノブルボン」や「ライスシャワー」のレースを見たことがきっかけでした。自身は高校時代小柄ながらサッカー部でキーパーをやっていたこともあり「やろうと思えば、小さい馬でも大きな馬に立ち向かっていけるんだ」と競馬の面白みを感じるようになりました。
競馬の道を志すきっかけはアルバイト
受験を終え、大学に入ってから週明けは競馬週刊誌を買い込み、週末はワクワクしながらレースを予想するのが楽しみになっていました。
そして、今の仕事の礎になったのが大学時代、友達に紹介された大阪ミナミの駐車場でのアルバイトでした。その駐車場には社長さんなど羽振りの良いお客さんが沢山来られて、笑福亭鶴瓶さんやJRAの競馬関係者も常連さんでした。自身の予想を役立たせたいとの思いもあり、その駐車場のお客さんに自作の競馬新聞をパソコンで作成し配布したところ、好評で予想が当たったお客さんから反響が出てくるようになりました。
ある建設会社の人から「うちの会社に入って競馬の予想をしてくれないか」と勧誘されました。
願ってもない話でしたが、将来のことを考えてその話はお断りしましたが「こんなに競馬の予想が求められるなら、競馬の仕事をやってみたい」と思うようになりました。就活は、新聞社や専門雑誌社などを受けましたが、結局、友達から紹介されたJRDBという競馬予想に関する情報を扱う企業に入社しました。この会社には5年間お世話になり、その後、フリーになって今に至っています。
サークルを立ち上げ、充実した大学生活
大学のことについてお話ししますと、中学校の頃から大学へ行くことを意識するようになり、高校は進学校に進みました。
大学受験では高望みすることなく、自分の学力に見合った学校が大経大で、浪人することなく現役で合格することができました。
入学後は、高校でやりたかった野球サークルを作って、自ら代表になり、活動しました。大学は勉強して単位を取らなければ卒業できませんが、時間は豊富にあるので勉強だけではなく、色々なことにチャレンジしてほしいと思います。またクラブ活動やサークル活動などを通して気の合う友達を作ってほしいと思います。
卒業後も大学時代の夢はよく見るそうで、大学まではちゃんと卒業しないといけないという思いが強かったのだと思います。また、卒業論文は「SUV車」について書いたことをよく覚えており、父親が自動車会社に勤め、自身も車が好きだったこともあり、その頃から未来を予想することに長けていたと自負していました。
競馬予想との向き合い方は論理的に
井内さんは栗東トレセンを中心とした取材活動をベースに予想しますが、ただ本命◎対抗○単穴▲などを付けるのではなく、この馬はこうだから良い、悪いと理論的に伝えています。予想が当たることより、予想で感謝されることにやりがいを感じるといいます。
競馬場に行った時、幼稚園児ぐらいの男児に「井内君が馬を見ている顔が凄く好きです」と書かれた手紙をもらって感激したり、一方、予想が当たってない時に年配男性から「しっかりせなあかんで」と叱咤激励されたこともありましたが、今のネット社会の時代に面と向かって声をかけてもらうことは大変ありがたく嬉しいことです。
今自身がモットーにしていることは「自分が経験したことは絶対マイナスではない」ということです。以前なら早めに出たのに渋滞に巻き込まれてイライラしたりしてましたが、これは考える時間を与えてくれているんだと、また予想がはずれている時はもう一度見直せということだと前向きに捉えるようにしたら気分がずっと楽になりました。今競馬は多くの人たちに支持され売り上げも上がっています。競馬をギャンブルとしてだけではなく、歴史のあるスポーツとして広めたい。そしてこれからも人生に求められる人間になっていきたいと思っています。
最後に週末はJRA主催の競馬教室を開催して、講師を務めています。この教室では馬券の買い方から予想の仕方、競馬場での過ごし方まで、ビギナーの方にも分かりやすく解説しています。皆さんから依頼がありましたら、是非大学でも競馬場でも喜んで行かせてもらいたいと約束していただきました。
(聞き手=広報部副部長・天野康弘、広報部・松浦雄一郎)
こちらは 同窓会誌「澱江59号」掲載の記事です
「澱江59号」はこちから御覧ください |