2019
 
2018年度卒業式・学位授与式開催される
期待に胸ふくらませ雄飛

 2018年度の卒業式、学位授与式が、2019年3月16日(土)、70周年記念館「フレアホール」で盛大に挙行された。式は午前10時から経済学部、人間科学部、大学院経済学研究科・人間科学研究科、そして午後1時から経営学部1・2部、情報社会学部、大学院経営学研究科・経営情報研究科の2回に分けて行われ。卒業生は学部生合計で1,606名、大学院生合計68名、計1,674名で、卒業生総数は9万8,837名となった。

 会場は真新しいスーツ、晴れ着で正装した卒業生や父母で満席となり、吹奏楽部の演奏、グリークラブの合唱で卒業式の雰囲気が盛り上がるなか、来賓、列席者の紹介が行われ、各総代に卒業証書、学位が授与された。最後は、出席者全員で学歌を斉唱し幕を閉じた。

 その後、卒業生は各教室で卒業証書を受け取り、期待に胸をふくらませて社会へ雄飛していった。

 学長、理事長の式辞、大樟会(同窓会)副会長の祝辞は以下のとおり。


(コ永光俊学長式辞・要旨)

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本日、卒業、修了された皆さん、おめでとうございます。
 私が、卒業式の式辞を述べるのは、今回が最後になります。3月末をもって私も学長を卒業いたしますので、本日は、私の研究について少しお話しさせていただきます。
 私が本格的に農業史の研究を始めたのは、大学院の時ですから、もう40年以上になります。この3月下旬には「日本農法の心土」という本を出しますが、これは、私がこれまで行ってきた江戸時代の農書の研究、奈良県の中世末から現在までの農業史の研究、そして「日本農法の水脈」「日本農法の天道」といった日本農業の哲学の研究、この3つの研究を組み合わせた40年間の総括が「日本農法の心土」です。私が研究する上で心掛けてきたことを4つお話しします。これは、皆さん方が、これから社会人として仕事をする上で必ず役に立つと思います。
 第一はオリジナルであること。独創性です。その人が独自に開発した考え方であるかどうかです。皆さん方も、社会に出たとき、「これは君の個性がよく出ているね」、「これまで誰も気づかなかったことをよく見ているね」と言われるようなオリジナルな視点を是非持っていただきたいのです。これからの社会人生活で画一化されたマニュアルで皆さんの個性を潰さないようにしていただきたいと思います。
 第二はロジカルです。学術研究は絶対に論理的でなくてはなりません。これから、会社で報告したり、説明したりするとき、論理的で、筋が通っていなければ、相手を説得することはできません。
 第三はリアルです。研究は常に現実に根ざしていなければなりません。私の場合、農法史の研究でしたが、自分の勝手な理屈や解釈で資料を切り取る演繹的な方法ではなく、膨大な資料の山から自ずと浮き上がってくるものを掴み取る帰納的な方法が大切だと思います。もう一つのリアルは、フィールドワークをして何が問題かを発見することです。私の場合、問題は現場の農家のなかの日常的な営みのなかに隠されています。この現場感覚、現実感覚がなければ研究はできません。
 第四はアイデアです。私は、希望を語ること、これからの方向性を示唆することをいつも念頭に置いてきました。フランスの詩人ルイ・アラゴンは「教えるとは希望を語ること。学ぶとは誠実を胸に刻むこと」と言いました。
 本学の初代校長の黒正巖博士は、「生業(なりわい)の道は変われど さしていく 高嶺の月はひとつなりけり」と詠んでいます。「なりわい」とは「生業」、「仕事」のことです。「仕事」の道はいろいろあっても、目指すべきゴールは一つであるということです。

 もう一つ、先生、先輩、仲間の大切さです。「つながる」ということです。本学の「つながる力1」です。私は、大学院生の25歳から66歳の現在まで40年以上の間、農業史の好きな人が毎月1回集る「関西農業史研究会」のお世話をしてきました。研究会には500人以上の人が出たり入ったりしました。そこで、私は4人の恩師の薫陶を受けました。多くの先輩、仲間と切磋琢磨し、研鑽を積んできました。私が、この年まで研究を継続することができたのは、この研究会があったからです。皆さんも、この4年間、5年間、たくさんの仲間を作ったと思います。つながること、これを大切にしていただきたいと思います。

 最後に、黒正巖博士のことを述べて終ります。
 「道理は天地を貫く」。これは世界で、日本でオンリーワン、大経大のオリジナルの言葉です。是非、心に留めておいてください。「道理とは何か」、「人の生きる道とは何か」、それを考えてほしいと思います。私は、「おかげさま」、「おたがいさま」であると思っています。皆さんは皆さんで、自分の答を見つけてほしいと思います。皆さん、ご卒業、おめでとう。

(藤本二郎理事長式辞・要旨)

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 平成最後の卒業生の皆様、ご卒業、おめでとうございます。
 本日の卒業を迎え、一抹の寂しさがあるかもしれませんが、終わりのニュアンスを持つ卒業は、同時に新たな生活の始まりであることを告げる晴れやかな門出でもあるのです。皆さんには、これから社会を担う一員として胸を張って卒業していただきたいと思います。

 私も本学の卒業生であります。本学の先輩、そして社会人の先輩として皆さん方に伝えたいことが二つあります。その一つは、バイタリティとセンシビリティを大切にするということです。社会に出たときに、まず大切なのは、周囲の人々との間に信頼関係を築くことです。自ら積極的にコミュニケーションをとり、失敗を恐れず、いろいろなことに果敢にチャレンジし、経験と実績を重ねてください。何も恐れることはありません。失敗してもめげずに挑戦することが大切であります。そして、その姿勢が周囲からの信頼関係を勝ち取ることにつながります。
 また、良い人間関係を構築するためには、相手の立場を理解し、相手の気持ちを思いやる人の痛みがわかる心遣いが肝要です。何事にも無関心であってはなりません。バイタリティとセンシビリティをもって仕事に取り組む。そうすれば、大きな目標を達成し、夢を実現することができると私は確信しております。

 二つ目は、健康であってほしいということです。今、申し上げたバイタリティを発揮するにも健康でなければなりません。健康には身体と心の健康が共に大切であります。神様はチャンスを皆に平等に与えると言います。その平等に巡ってくるチャンスをものにし、大いに活躍できるか否かは健康次第であります。

 私たち大学の教職員は、皆さんの人生の大切な時期に関わりを持たせていただいたことを誇りに思っております。卒業生の皆さん一人ひとりを誇りに思っております。本学は、社会の多くの人々から支持され、応援いただける大学であるための第一の指標は卒業生の皆さんが社会で思う存分活躍していただくことです。皆さんには、それぞれの立場と自らの夢を大きく実現されるとともに、その夢の実現を通して、大いに社会に貢献されることを期待しております。
 皆さんのこれからの輝かしい人生を心より祈念しつつ、卒業に際しての心からのお祝いの言葉といたします。

(小林眞人大樟会副会長祝辞・要旨)

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 皆さん、卒業おめでとうございます。同窓会を代表して心からお祝い申し上げます。
 本日は同窓会の田村会長が出席して親しくご挨拶するはずでしたが、田村会長がよんどころない用事で出席が叶いませんので、私、副会長の小林が代わってご挨拶申し上げます。私は、昨日、山口から参りました。
 さて、皆さんはおそらく今日が最後の卒業式になります。もう卒業式はありません。もし、あるとしたらそれは「定年」という職業人生活からの「卒業」ではないでしょうか。
 独り立ちするのに20数年。すでに永い年月を費やしてきました。これまでの学生生活は社会へ入学するための準備期間でしかありませんでした。これから人生の本番が始まります。そこで社会人の先輩として心に留めて欲しいことを一つだけお話いたします。

 それは、世間で言われている「ブランド力」や「知名度」に惑わされないことです。
 18歳の時の進学先で人生が決まるわけではありません。同時に「卒業後の勤務先の大小」で充実した職業人生が送れる訳でもありません。職業人としての成功はそんなことでは決まりません。社会に出たら偏差値は全く通用しません。企業社会ではそんな評価の基準はありません。むしろ、卒業後の皆さんの仕事ぶりがこれからの人生を大きく左右することになると思います。
 世間では、大学ブランドに寄りかかって得をする人もあれば、大企業に入社しても巨大組織に埋没する人もいます。「ブランド願望」は、ブランド力ではなく、実力で勝負して欲しいと思います。
 本学の10万人に及ぶ卒業生は、決して大学ブランドで生きてきたわけではありません。母校で学んだことを誇りに思い、母校の看板を背負って職業能力・キャリアを積み、実力で社会の各層で活躍されております。
 帝国データバンクの「社長出身大学別調査」によりますと本学の卒業生の経営者の数は他の大学に勝るとも劣りません。皆さんは「よれば大樹」他力本願ではなく、自助努力し、職業能力・キャリアを積んだプロの職業人を目指してください。

 ところで、きょう皆さんが卒業式を終えて母校を後にしますと、ここにおられる同期が揃って再び相まみえる機会は永遠にありません。恐らく、かなりの皆さんは母校を訪ねることは生涯ないかも知れません。
 しかし、それが叶わなくとも、皆さんのふるさとや勤務地、職場、取引先で卒業生に巡り合うことができます。全国通津浦々で卒業生が活躍されています。仕事に行き詰ったとき、困ったときはぜひとも最寄りの同窓会支部総会にご出席いただきたいと思います。
 大樟会の支部組織は今年6月、南大阪支部と沖縄支部が誕生する予定で、北は北海道から南は沖縄まで56支部が揃い、その他に職域、税理士、教員、大学院などの資格別の組織が9団体あります。
 また、大樟会では同窓会と卒業生との絆を深めるための「澱江」という同窓会誌を発行しておりまして、母校と卒業生とのつながる力、卒業生同士の絆を深めていただいております。また、どこかでお目にかかれることを楽しみに、皆さんのご健勝とご活躍を祈念し、祝辞とさせていただきます。
本日はおめでとうございました。

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